ノー・コントロール

What do you call that noise ?

聖者が街にやってくる  

中学3年生になってすぐくらいのことだったと思う。仙台市の中学校に通う僕たちにも日本のインディーズパンクムーブメントが押し寄せた。

僕は周りよりも、ロックに関しちゃちょっとススンデイタ中学生だったので、昨日まで「おニャン子クラブ」に夢中だった奴らが、突然「ラフィン最高!」とか、「やっぱりSex Pistolsだよな!」とか言い始めるのが、とても気持ち悪かった。だって、昨日まで「会員番号の歌」を歌っていた奴が、「ゲットザグローリー!」とか言い始めても、どんな顔をしたらいいんだかわからない。


その頃の僕には休日はなくて、日曜日にはバスに乗って西公園近くにある進学塾に通っていた。ウォークマンでパンクを聴きながら塾通い!アウトサイダーからは程遠いのだが、その頃の僕は、何の疑問ももたず、ただただ全国模試の点数を上げることに必死になるのが「当たり前」であった。それでもココロはパンクスであった。

塾での勉強を終えた僕は、仙台駅へ向かって歩き始めた。イヤフォンからはラフィンノーズ、学ランのポケットにはセーラムとライターと単語帳。真面目なんだか不真面目なんだか、全くわからない。

駅のバスターミナルの列に、隣のクラスのHくんを発見した。Hくんはサッカーで地元の私立高校にスポーツ推薦が決まっているらしいという噂は聞いていた。部活を引退してから、高校入学までの間、悠々自適な日々なのだろう。

僕の視線を感じたのだろうか?「おう!何してんの?」と近づいてきたHくんは、赤白ボーダーのTシャツに、穴の開いたジーンズをはいていて、白いヘアバンド。ラフィンノーズのボーカル「チャーミー」のコスプレみたいになっていた。この前まで「新田恵利と河合その子の二人から、同時に告白されたらどうするか?」で、同じサッカー部仲間で盛り上がっていたHくんよ…。



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「塾かぁ、お疲れさん!ちょっとそこの陰で一服するべ」

進学が決まっている奴の余裕ってやつか。僕はHくんの若干上からの物言いに、ちょっとカチンときた。だいたい何なんだよその恰好?この前まで夕焼けニャンニャンとキャプテン翼の話しかしていなかったし、ファッションのお手本はBE-BOP-HIGHSCHOOLだったじゃねえかよ。

「Hくんさ、その赤白のボーダーシャツ、カッコイイね」

「そうだべ!ラフィンのチャーミーが…」

「Hくんも、楳図かずおが好きだったとは嬉しいよ!おろちとか、漂流教室とか最高だよな!」

「いや、パンクでラフィンが…」

「パンクといえば、楳図かずおのビチグソロックな!あれを聞かずしてパンクは語れねえよなあ!…なあ、そうだろ?」

「あ、ああ、そうだな…」


思い返すに、私はあの時のHくんの「にわかパンクファッション」にムカついたのだと思う。「パンクを聴きながら、必死こいて受験勉強をしている自分のほうがパンクだ!」という思いもあったのかもしれない。自分の方が少しだけ、パンクロックを聴くのが早かっただけなのに。ミドルティーンのパンク観は、自身のアイデンティティの確立ともシンクロしており、なかなか厄介だ。


余談であるが、Hくんはスポーツが盛んなI学園高校において、並み居るサッカーの猛者たちに埋もれ意気消沈、夏休み前には部活を辞め、暴走族になったとか。

その時の彼の胸の中に「Get The Glory」が鳴り響いていたかどうかは知らない。




LAUGHIN' NOSE 聖者が街にやってくる






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# | 
2017/07/22 03:29 | edit

Re: タイトルなし

同時進行はまだ健全だと思うのですよ。
「一夜にして」ってのが、どうにもモヤモヤしちゃって。
ああ、でも確かに昔は対立構造めいたものがありましたね。
それも今では懐かしいです。

Mちゃん!懐かしいなあ、背がちっちゃい子だよね。覚えているよ。
へ~、そんな方とご結婚されたとは、すごいですなぁ。人生いろいろ。

ああ、俺もその会合に出たかったよ。
今だから、素直に話せること、いっぱいありそうだ。
髭おじさんも見たいし(笑)

濃紺 #- | URL
2017/07/25 22:11 | edit

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