隅田川

先輩方の命日だ。
あれから、もう随分経つんだな。



出番を終えて楽屋に戻った私は、メイクを落としていた。
水が冷たかった。
「何でお湯は出ないんだよ?」と、いつも思っていた。

タオルで顔を拭いていると、鏡越しに先輩と目が合った。

「曲は、君が作ってんの?」

「そうですね。主に俺ですね」

「俺らがやってる音楽とは全然違うけれどさ…結構いいと思うよ」

「ああ…どうも」

我ながら、つまらない返事だと思う。
もっと会話が弾む返答があったと思うが、当時の私は、どう返したら良いのか、よくわからなかったのだ。
ただ、曲を褒められたのは、嬉しかった。

使っている地下鉄が同じ路線だったので、たまに同じ車両に乗り合わせた。
何駅か分の会話をした。
「ライブでは攻撃的な印象しかないのに、落ち着いた話し方をする人だな…」と、いつも思っていた。



葬儀に行ったが、何だかドラマを見ているみたいだった。
遺影が逆立てた赤い髪って。
現実感がなかった。

きっと、「水が冷たい」なんて、思う間もなかっただろう。

chuuouoohashi1025.jpg

橋からはスカイツリーが見えるようになったようだ。

あれから随分経ちますが、忘れていませんよ。






■YouTube-PAIN / THE PIASS


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コメント

No title

きっと今の隅田川を見てビックリしてると思いますw
本当あれからだいぶ立ちましたが。。あの頃ってとっても
良かったと思ってしまう自分は成長してない気がします。

No title

>夜摩さん
橋にビールと花を供える人は、今年もいましたよ。
みんな、忘れていないんだね。

いやいや、成長していないのではなくて、きっと、あの頃の楽しかった記憶が、鮮烈に残っているからだと思いますよ。
年齢を重ねると、楽しいことって少なくなる気がするのですが、それでも何かを楽しむ余裕は欲しいですよね。
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濃紺

Author:濃紺
◆1971年生まれ。廃人寸前からサラリーマンへ奇跡の転身。 音楽好き。愛すべき80年代カルチャーを礎に、現在を生き未来を感じたい。東京→仙台→札幌→福岡。

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