サヨナラは8月のララバイ

そういやもう8月なんだな。
毎日暑いはずだ。

この季節になると思い出す出来事がある。
あまり思い出したくない…ある意味「トラウマ」なんだけれど。

あれは中学2年生の夏休みのことだった。
体育の授業の一環でさ、夏休みに何回以上プールに入れって課題があったんだ。

全くダルいよな~。
なんて思いつつ、一時間くらいをプールで過ごし、私は更衣室で制服に着替えていた。

「あ、濃紺!来てたんだ」

「おお、つねみじゃん。久し振り」

こいつの名前は「つねみ」。
漢字で書くと恒美。
女の子みたいな名前だけれど、男である。
丸刈り頭の野球部。
中1の時は同じクラスだった。

「方向同じだし、一緒に帰るべ」

つねみの提案を断る理由もないので、そうすることにした。

我々は、他愛もない話をしながら歩いていた。

「時間あるなら、ちょっとウチ寄ってかねか?」

この提案も断る理由がないので、そうすることにした。

つねみの両親は共働きなので、昼間は親がいない。
中学2年生にとっては、「両親が出かけている」って状況は、フリーダムなのである。
それをいいことに、2人でコーラを飲みながらタバコを吸い、近所迷惑なレベルでレコードをかける。

回り続ける扇風機の風に、紫煙が揺れる。
交わされるのは、どうでもいい馬鹿話。
中2の夏休みの午後なんて、そんなものだ。

ところで、プールの後って眠いよね。
私はつねみの部屋のベッドに横になって、漫画を読んでいるうちに、眠ってしまったようだ。

どのくらい眠っていたのだろう?
なんだか股間のあたりがモゾモゾとして目を覚ました。

寝起きのぼんやりした頭で、自らの股間のあたりを見ると、つねみは私のボンタン(制服のズボン)の上から、私のおちんちんを触っていた。

?!

軽くパニックになった。

「おい!つねみ!テメー何してんだよ?」

「ああ、起こしちゃったか…ゴメンゴメン」

「いいから触るのやめろ」

つねみはベッドの上で正座をしたまま黙っていたのだが、その沈黙を破ったのも、またつねみであった。
つねみは、バリバリの仙台弁で、こう言った。

「あのやー…勃起したちんぽ見せあってやー…シコシコしあうべ」

シコシコしあうって?お前なに言ってんの?!

そしてついに、つねみは爆弾級の言葉を発した。

「ホ…ホモするべよ!」

そう叫ぶと、つねみは私に抱きついてきた。

中学2年生である。
「そういうこと」にも、興味津々なお年頃だ。
だがしかし、だがしかし…「そういうこと」は、男と女…凸と凹で成り立つものだと思っている。
我々は男同士、凸と凸なのだ。

世の中には、男同士での「そういうこと」もあることは、知識として知ってはいたが、自分が当事者になるのはご勘弁なのである。

つねみは私の腕をとり、自らの股間に私の手を誘(いざな)う。
ズボン越しに感じる、つねみの勃起したおちんちんの感触。
つーかつねみよ。
お前なんで勃起してんだよ?

ああ、まだ女の子のおっぱいも触ったことがないのに、何で私はつねみのおちんちんを触らされているのだ?!

私は遺伝子レベルで危険を感じ、つねみを突き飛ばした。

尻餅をついたつねみは、立ち上がりながら、「なあ、濃紺…ホモするべよ」と、再び迫ってきた。

ここで濃紺リミッターが解除された。

「あのなあ、俺はホモじゃねえんだよ!」

あとはもう、感情がおもむくまま。
私は柔道の大外刈りの要領でつねみを倒すと、馬乗りになって顔面を殴打した。
つねみは鼻血を出しながら「ごめんよ、ごめんよう!」と言った。

つねみの部屋を出る時に、何か捨て台詞を吐いたような気がする。
帰り道のことは、よく憶えていない。

その後、つねみとは一切口をきかなかった。
たまに廊下ですれ違うことがあったが、つねみは私から目を逸らし続けた。

もしあの時、つねみの誘いに乗っていたなら…。
その扉を開けていたなら、今とは違う自分だったのだろうか?

そして、つねみよ。
お前はホモだったのか?
それとも、思春期における性欲が、一時的な気の迷いで暴走しただけなのか?

あの日つねみの部屋でかかっていた曲は、毎年この時期になると、頭の中でリピートし、私はその度に、ズボン越しに触らせられた、勃起したつねみのおちんちんの感触を思い出しては、深い溜め息をつくのだった。



■YouTube-サヨナラは8月のララバイ / 吉川晃司
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コメント

No title

そういうの、実際あるんですね!
私も間違いなく拒否します

No title

いやぁ深いね。
オレはちょっと迷う派かなぁ。。なんて書いてみる(笑)

No title

■ニ野さん
ある意味ドキドキな経験でした。


■たぁすけさん
おーい!
迷ってないで、逃げてー(笑)!

「ホモするべよ」

凄い破壊力www

No title

■はみちさん
今まで生きてきて、「人に言われた衝撃的な言葉ベストテン」に、余裕で入りますね。

その時の彼の表情も、鮮明に記憶に残っていますよ。
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Author:濃紺
◆1971年生まれ。廃人寸前からサラリーマンへ奇跡の転身。 音楽好き。愛すべき80年代カルチャーを礎に、現在を生き未来を感じたい。東京→仙台→札幌→福岡。

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