ノー・コントロール

What do you call that noise ?

殺し屋のブルース  

今シーズン初の、手袋装着!もう冬?…なのか?

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この手袋は、もう4~5年使っている。自分で買ったのか、誰かに貰ったのかは忘れた。たしかラム・スキン。羊さんの革だ。硬くもなく、柔らかくもないところが気に入っている。

革手袋は、指先に「あまり」が出来ず、なるべくピッタリフィットするのが望ましい。手袋を装着したまま煙草に火をつけたり、財布を開けて小銭を自販機に入れたりできるように。

手袋は私の手にすっかり馴染み、もはや皮膚のようだ。なので、真冬になると、室内でも手袋をしたまま過ごすことも多い。

いつだったか、私は冬の酒場で手袋をしたままビールのジョッキを傾けていた。どんなに寒くても、やはり最初はキンキンに冷えたビールが飲みたいのである。

黒い革手袋をしたまま、ジョッキを持ち、煙草を灰皿に擦りつける私を見て、隣のテーブルの見知らぬ酔客が、「お兄さん~殺し屋?」と尋ねてきた。ピッタリと張り付いた革手袋が、ゴルゴ13的イメージを呼び起こしたのだろうか?

隣のテーブルには軽い笑いが起こった。『誰が殺し屋じゃ、あほんだら』私は憮然とした態度で、それでも手袋をしたままビールのおかわりを注文した。

何杯かのジョッキを空にして、私はトイレットに立った。冬もビールは美味いが、トイレットが近くなるのが煩わしい。寒い夜のビールは、私を『妖怪・しょうべんちかし』に変えるのである。

トイレットには先客があり、私はドアから数歩離れたところで、先客の用が済むのを待っていた。「まだか~まだか~」奇妙なメロディをつけて、小声で歌っていると、ようやくドアが開いて、中からは先程の「お兄さん殺し屋?」の無礼な娘さんがヨロヨロとゾンビのように出てきた。

ゾンビは相当に酔っている様子で、一段下がったトイレからの段差を踏み外すと、私にしなだれかかり、両手を私の首に回すのであった。

「お兄さんさぁー…」
うわー酒くせー。酒呑んでる私がそう思うんだから、相当なものだ。つーか、離れろ!この雌ブタのゾンビめ!

「殺し屋だったら、あたしを殺してよー」

私は自分で首に巻き付いた彼女の腕をほどき、彼女の両肩に手を添えて、一歩下がった。

雌ブタゾンビは泣いていた。

「お嬢さん、何があったかしらないが、そういうのはやめておきな。それに、俺に対しての報酬は、あなたが気軽に払える程の金額ではない…さあ、席へお帰り。そしてお友達と、楽しい宴の続きをするがいい」

彼女はハンカチーフで涙を拭い、コクリと頷いた。よく見りゃ、雌ブタゾンビは結構可愛い顔をして…イカンイカン。

さすがの私も、手袋をしたまま用を足すのは気がひけるので、手袋を外して小用に及んだ。手を洗い、エアタオルで水滴を吹き飛ばすと、また手袋をした。

そして鏡に向かって「殺し屋失格だなあ」と呟いたのだった。
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コメント

物語のようですねw

全くもって同感ですね、トイレ。
夏でも頻繁にトイレに行きたくなってしまう。
これがなければ、お酒も相当楽しめると思うのです。

沙依 #G87DcSv. | URL
2009/11/16 20:59 | edit

■沙依さん
酔っていたとはいえ、彼女がなにをもって「殺してよ」と発言したのかは、ちょっと気になるところではあります。まあ、なにかあって、日頃の鬱積が表層に出てしまったのでしょうね。

トイレ、たまにトイレに行くことそれ自体がめんどくさくなることがあります。こりゃ、筋金入りのめんどくさがり屋だなと、我ながら思いますよ(笑

濃紺 #2hxD5myk | URL
2009/11/17 04:12 | edit

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