わからないことがわかった朝
昨夜はあまり眠れなくてですね。全然眠れない訳じゃなくて、何度も起きてしまうのですよ。
「眠れないなら起きてたら?」自分にそう言い聞かせるも、何もしたいことがない。暇である。なんと贅沢な時間であろうか。
で、秋の夜長に読書と洒落込もうと思ったのだが、近頃の私は、元々のバカにより一層磨きがかかってしまい、恥ずかしながら、長い物語が読めなくなっている。読んだそばから、どんどん忘れてしまい、現在の私のポンコツ頭では、ストーリーを追うのが困難かつ億劫なのだ。なので、近頃は本を読むといっても、対談形式のものか、短編小説、短いエッセイ、画集や写真集をバカっ面で眺めるくらいが精一杯である。
図書館から借りてきた本を開いた。『転生 /著・田口ランディ イラスト・篁カノン』。田口ランディという名前は随分前から目にしていたが、読むのは初めてだ。
薄くて挿絵もいっぱいあるので、ポンコツ頭の私にもきっと読むことができるであろう。
テーマは「輪廻転生」。私自身、輪廻転生があるかないかはよくわからないし、とりわけ興味があるテーマでもないのだが、何となく目に付いて借りてきたのだった。
ペラペラとページを捲る。
30分ほどかけて、読み終えた。
…うーむ…よくわからん。
わかるような?わからないような?
すっかり眠気は醒めてしまった。
わからないけれどつまらないわけでもなく、何か見落としている気がする。
私は再び最初からページを捲った。
今度はさっきより時間をかけて、ゆっくりと読んでみよう。
…うーむ…やっぱりよくわからん。
だけど、なんだ?このモヤモヤした感じは?
何かを思い出せそうで思い出せない時のようなモヤモヤが、私のポンコツ頭を霧で埋め尽くす。
私は三度最初からページを捲った。
今度はイラストもじっくり眺めてみよう。
話の内容もさることながら、篁カノンという方のイラストが、妙に「ひっかかる」。
私は絵とかアートにはてんで疎いのだが、なんだか凄く「ひっかかる」のである。
その「ひっかかり」の正体がわかれば、モヤモヤを晴らす切っ掛けが見つかるかもしれないのに…。
何度もページを捲ったり、戻ったりしているうちに、すっかり夜は明けていた。
「わからなくて良い」ことも、きっとあるのだろう。
私はそう結論づけた。
費やした時間は、決して無駄ではなかったと信じている。